『あの人がいないと現場が回らない』という状態を、
安心感ではなく**「リスク」**だと感じたことはありませんか?
美容・医療クリニックの現場では、
「できる人」「任せられる人」に、
いつの間にか仕事が集まってしまうことがあります。
最初は、信頼や善意から始まった役割分担。
けれど気づかないうちに、
その人だけが、いくつもの責任を抱える状態に
なってしまうことも少なくありません。
これは、能力や姿勢の問題ではなく、
構造の問題です。
業務としては、かなり重たい内容
たとえば、Instagram運用。
言葉にすると「インスタ担当」と一言ですが、
実際に中身を書き出してみると、こうなります。
・週に複数回の投稿
・1投稿あたり複数ページ構成
・投稿テーマの整理
・情報や表現の正確性チェック
・デザイン内容の確認
・キャプション全文のチェック
・表現が違う場合の差し替え指示
・修正が反映されているかの確認
・最終的な投稿作業
これらを、
1人のスタッフが一手に担っているケースもあります。
しかも多くの場合、
これらは業務時間外で行われ、
手当として支払われる金額はごくわずかです。
本来は休息や自己研鑽に使われる時間が、
削られていることも少なくありません。
「投稿作業」という言葉の軽さとは裏腹に、
実質的には、
編集・校正・ディレクション・最終責任まで
含まれた業務です。
在庫管理担当が実際に抱えていること
もうひとつ、
「在庫管理担当」も同じように、
言葉以上に重たい業務です。
・使用量の把握
・欠品しないための発注タイミング判断
・納品までのリードタイム管理
・期限や保管状況の確認
・価格や仕入れ条件の確認
・急な変更やトラブルへの対応
こちらも、
単に「在庫を数える仕事」ではありません。
施術や診療を止めないための、
判断と責任を伴う管理業務です。
これらの項目以上に担当者を消耗させているのは、
『これで大丈夫か?』と
一人で決断し続ける
**「判断のコスト」**です。
頑張れる人ほど、断れなくなる
こうした業務を担っているのは、
たいてい経験があり、判断も早く、
周囲からの信頼も厚いスタッフです。
だからこそ、
「この人ならできる」
「任せておけば安心」
「結局、この人が一番分かっている」
そんな理由で、
仕事が少しずつ集中していきます。
本人もまた、
「自分がやらないと回らない」
「周囲に迷惑をかけたくない」
「期待に応えたい」
と、
無理を無理として認識しにくくなっていきます。
問題は「姿勢」ではなく「設計」
こうした状況が続くと、
遅れやミスが出たときに、
・締切を厳しくする
・ルールを追加する
・ペナルティを設ける
といった対応が取られがちです。
でも本当の問題は、
個人の意識や責任感ではありません。
✔️ 業務量に対して、時間設計がされていない
✔️ 役割と責任が1人に集中している
✔️ 「できる人」に依存した運用になっている
つまり、
構造の問題です。
「期待」や「評価」が、負担になることもある
評価されている。
信頼されている。
条件も、決して悪くはない。
それでも、
業務の範囲や時間が整理されていなければ、
期待はそのまま負担になります。
評価や待遇は、
「役割」と「時間」に対して支払われるもの。
無制限に業務を引き受ける前提には、
なりません。
壊れる前に、立ち止まれるか
こうした現場を見ていて感じるのは、
問題が表に出る頃には、
すでに誰かが限界に近づいていることが多い、
ということです。
「優秀な人が突然辞める」
「理由が分からない体調不良が続く」
その背景には、
仕組みで守られなかった頑張りが
あることも少なくありません。
仕組みを整える、という選択
誰かの努力に頼るのではなく、
「仕組み」を問い直す。
そのために、
まずは次の3つの視点で
現場を眺めてみてください。
【1】時間の設計
その業務は、
「シフト時間内」に終わる設計になっていますか?
【2】判断の分散
その人が不在のとき、
代わりに「判断」できる人はいますか?
【3】基準の共有
手順だけの「マニュアル」ではなく、
「判断基準」が共有されていますか?
これらが整うだけで、
現場の流れは驚くほど軽くなります。
不安の解消
担当者が休みの日も、
周囲も本人も不安にならずに済む
属人化の防止
「あの人しか分からない」が減り、
引き継ぎがスムーズになる
資産への転換
業務が「個人の能力」ではなく、
「クリニックの資産」になる
誰かが悪いわけではありません。
ただ、現場の成長に
「仕組み」が追いついていなかっただけ。
そこに気づき、
一つずつズレをほどいていくことで、
現場の空気は大きく変わります。
おわりに
現場が回っているときほど、
支えている業務の重さは見えにくくなります。
だからこそ、
結果やスピードの前に、
その「担当」が何を抱えているのかを
一度、整理してみる時間があっても
いいのかもしれません。
まずは、
今誰が何を抱えているか、
紙に書き出してみるだけでも構いません。
それだけでも、
個人を責めず、
仕組みを変える第一歩になります。
もし、その整理が難しいと感じたら、
私たちのような
外部の視点を取り入れるのも一つの手です。
現場を良くしたい気持ちと、
現場が持続する設計は、別のもの。
根性や善意ではなく、
仕事の中身を見える形にすること。
そこから、整えられることはきっとあります。
この文章は、
特定の職場や人を指すものではありません。
同じような状況にいる誰かが、
「これは個人の問題じゃなかった」と
少し息がしやすくなるための記事です。
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